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パクリタキセルとカルボプラチンの薬物動態と臨床効果

進行卵巣がんに対してはパクリタキセルとカルボプラチン併用のTJ療法が標準化学療法として推奨されています。Clinical Cancer Research誌に,TJ療法を受けた卵巣がん患者の薬物動態と奏効率及び有害反応の関連性を調べた研究結果が掲載されています。
Joerger M et al. Clin Cancer Res 2007;13:6410-6418

パクリタキセル(175 mg/m2)の3時間注入後にカルボプラチン(AUC5)を30分注入するTJ療法を受けた卵巣がん患者139例の血漿中の両薬剤の薬物濃度を測定し,非線形混合効果モデル(Nonlinear Mixed Effect Model,NONMEM)を用いた母集団薬物動態解析で血漿濃度-時間を求め,パクリタキセルの血漿濃度(0.1μmol/Lまたは0.05μmol/L)を維持する時間やカルボプラチンの最大血漿濃度(Cmax)と奏効率及び有害反応の関連性を調べています。
 結果は次の通りです。

・パクリタキセルの血漿濃度が0.1μmol/L以上を持続する時間の影響
 血漿濃度が0.1μmol/L以上を持続した時間は平均16.4時間。
 奏効性別にみると,完全奏効(CR)(17例)17.8時間,部分奏効(PR)(9例)18.1時間,病勢安定(SD)(2例)23.8時間,増悪(PD)(6例)14.3時間で,CR+PR+SD例は,PD例に比較してやや長い傾向がありますが有意差は認められていません(P=0.08)。
 血漿濃度が0.1μmol/L以上を16.4時間以上持続した例の50%無増悪生存期間は73.1週,16.4時間未満の例は67.3週と血漿濃度が0.1μmol/L以上の持続時間では,無増悪生存期間に有意差を認めていません(P=0.66)。
  好中球減少は,なし17.6時間,軽度16.4時間,重度15.9時間と有意差は認められていません。

・パクリタキセルの血漿濃度が0.05μmol/L以上を持続する時間の影響
 血漿濃度が0.05μmol/L以上を持続した時間は平均61.4時間。
 奏効性別にみると,CR(17例)91.9時間,PR(9例)51.5時間,SD(2例)75.9時間,PD(6例)31.5時間で,CR+PR+SD例は,PD例に比較してやや有意に持続時間が長いことが認められています(P=0.05)。
 血漿濃度が0.05μmol/L以上を61.4時間以上持続した例の50%無増悪生存期間は89.0週,61.4時間未満の例は61.9週と血漿濃度が0.05μmol/L以上を長時間持続する例は,持続しない例と比較して,有意に無増悪生存期間が長いことが認められています(P=0.05)。
 好中球減少は,なし50.2時間,軽度50.3時間,重度74.1時間と血漿濃度が0.05μmol/L以上を持続する例に好中球減少が重度になることが認められています(P=0.01)。
 血小板減少は,なし53.8時間,軽度85.0時間,重度75.1時間と血漿濃度が0.05μmol/L以上を持続する例に軽度または重度の血小板減少が認められることも示されています(P=0.02)。

・カルボプラチンの最大血漿濃度(Cmax)及び実測AUCの影響
 Cmax及び実測AUCと奏効性,好中球減少との関連性は認められていません。
 血小板減少とCmaxを見ますと,血小板減少なし30.7m/L,軽度47.8m/L,重度57.7m/Lと血小板減少が認められる例ではCmaxが有意に高いことが示されています(P<0.0001)。
 また,実測AUCでは,血小板減少なし1.25mg/mL×min,軽度1.76mg/mL×min,重度20.8mg/mL×minと血小板減少が認められる例では実測AUCが有意に高いことが示されています(P<0.0001)。

この結果から,TJ療法を行う卵巣がん患者では,パクリタキセルの血漿濃度が0.05μmol/L以上を持続する時間が,臨床効果や重度の好中球減少の予測因子になり,カルボプラチンのCmaxや実測AUCなどの曝露量が血小板減少の予測因子になると結論されています。

先日,卵巣がん患者を対象とするパクリタキセル(135 mg/m2,24時間注入)後にシスプラチン(75mg/2,day2)を併用群とパクリタキセル(120 mg/m2,96時間注入)投与後にシスプラチン(75mg/m2,day5)を併用群の比較試験結果を紹介しました。この試験では,96時間注入群で,1日30mg/m2の注入すれば,パクリタキセルの目標血中濃度0.05μMに到達し,維持することが確認されていることから,パクリタキセル96時間注入の臨床効果を確認するために行われたものですが,より少ない投与量で96時間注入する群でも24時間注入群と比較して,有意差は認められませんが,良好な結果を示しています。
パクリタキセルの用法・用量に関する試験から

今回の薬物動態の試験では,96時間注入の有効性を裏付ける結果になっていると思います。薬物動態と臨床効果,安全性を検討することにより,より適切な用法・用量の確立ができることを示唆する成績と思います。
 多くの薬剤でこのような検討がされると,より適正な使用が可能になるのではないでしょうか。

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