がん総合情報

 HER-2過剰発現が認められる胃がんに対して,トラスツズマブ(商品名ハーセプチン)が有効である可能性が示されていますが,米国オーランドで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO)で,進行胃がん(食道・胃接合部がんを含む)患者を対象として,シスプラチンとフッ化ピリミジン併用の化学療法単独群とトラスツズマブ併用群の効果を比較した,日本を含む国際ランダム化比較第III相試験(ToGA試験)の中間解析結果が報告されています。抄録に基づいて,この情報を紹介します。

...続きを読む

 ポリエチレングリコール(PEG)化リポソーマルドキソルビシン(PLD,商品名ドキシル)は,最近,再発卵巣がんにも適応が追加されました。しかし,PLDに関しては,第II相試験結果が多く,併用薬などその意義については,不明なことが多いことが知られていました。今年(2009年)5月29日-6月2日に米国フロリダ州オーランドで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO)で,カルボプラチンとPLDの併用療法に関する,進行卵巣がんに対する1次療法としての有効性を評価したイタリアのグループのランダム化第III相試験(MITO-2試験),プラチナ感受性の進行がんの2次療法としての効果を評価したギリシャのグループのランダム化第III相試験(CALYPSO試験)の結果が発表されるようですので,抄録に基づいて,これらの試験を紹介したいと思います。

...続きを読む

 化学療法の経験のない,非喫煙または過去に少し喫煙の経験があり,WHOのPSが0-2,腺がんというゲフィチニブ(商品名イレッサ)が効果を発現しやすいと考えられる進行非小細胞肺がん患者の1次療法として,ゲフィチニブ単独群とカルボプラチンとパクリタキセル併用の化学療法群の効果を比較したランダム化比較試験(IPASS試験)の結果は,昨年,幾つかの学会で報告されています。2009年5月29日から米国オーランドで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)で,EGFR遺伝子変異などのバイオマーカーと効果の関連性を解析した結果が発表されるようです。この発表に先立ち,5月14日に開催されたpresscastでその概要が報告されておりますので,このpresscastの情報と抄録に基づいて,その成績を紹介します。

...続きを読む

 上皮増殖因子受容体(EGFR)の下流にあるRasやRafが増幅した状態(KRAS遺伝子変異,BRAF遺伝子変異)では,EGFR阻害剤は効果を発揮しにくいことが知られており,EGFR阻害薬の抵抗性に関与する因子の一つと言われています。今年5月29日より米国フロリダ州オーランドで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)で,進行非小細胞肺がんの1次療法として,エルロチニブ(商品名タルセバ)とRafキナーゼ阻害作用を有するソラフェニブ(商品名ネクサバール)との併用療法に関する第II相試験結果が発表されるようです。

...続きを読む

 2008年のサンアントニオ乳がんシンポジウムで,ホルモン受容体陽性閉経後転移性乳がんの1次療法としてレトロゾール(商品名フェマーラ)単独療法とレトロゾールとラパチニブ(商品名タイケルブ)併用療法の効果を比較する二重盲検,ランダム化比較試験(EGF30008試験)結果が報告されています。今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で,このEGF30008試験に関する,種々の解析結果が報告される予定のようです。抄録に基づいてこれらの報告を紹介したいと思います。

...続きを読む

 AstraZeneca社は,4月23日,欧州医薬品庁(EMEA)の科学諮問委員会から上皮増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼの遺伝子変異がある非小細胞肺がんに対してゲフィチニブ(商品名イレッサ)が有効性があると判断したことを受け,欧州医薬品委員会(CHMP)が欧州で,EGFR遺伝子変異がある非小細胞肺がんの承認を推奨したと発表しています。

...続きを読む

 Roche社は,3月11日,初期HER-2陽性乳がん患者の術後補助療法として,トラスツズマブ(商品名ハーセプチン)の効果を評価したHERA試験の4年追跡結果で,トラスツズマブが,観察のみの対照群より良好な結果が得られたと発表しています。

...続きを読む

 米国FDAは,2009年3月6日,2009年1月で,黒枠警告,禁忌,使用上の注意,有害反応などの添付文書の改訂行われた医薬品を発表しました。
 これらの中には,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの抗うつ薬の使用上の注意に,致死的なセロトニン症候群や神経遮断薬性悪性症候群の出現のリスクがあることが付け加えられたようです。これらの有害反応は,単独投与でも出現するようですが,トリプタンのようなセロトニン作動薬やセロトニン代謝を阻害するMAO阻害薬,抗精神病薬などドパミン受容体拮抗作用を有する薬剤との併用で出現が多くなりそうですので,注意が必要と思います。
FDA MedWatch
http://www.fda.gov/medwatch/safety/2009/jan09.htm

 ラパチニブ(商品名タイケルブ)は上皮増殖因子であるEGFR(HER-1)とHER-2のチロシンキナーゼを阻害して効果を示す分子標的治療薬として知られています。
 グラクソスミスクライン社は,ラパチニブの単独投与で乳がん治療薬として製造承認申請をしていましたが,2009年2月26日の厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は,HER-2過剰発現が認められる手術不能または再発乳がんに対して,カペシタビン(商品名ゼローダ)との併用で承認を了承したと報道されています。

...続きを読む

 進行腎細胞がんに対して,マルチキナーゼ阻害薬として知られるソラフェニブ(商品名ネクサバール),スニチニブ(商品名スーテント),mTOR阻害薬であるテムシロリムス(商品名トリセル)や血管内皮増殖因子(VEGF)抗体であるベバシズマブ(商品名アバスチン)などが有効であると報告されていますが,2008年8月,英国NICE(The National Institute of Health and Clinical Excellence)は,ソラフェニブ,スニチニブ,テムシロリムス,ベバシズマブは,進行腎細胞がんに対して,僅かな期間(数カ月)の生存期間の延長効果しか認めないにも関わらず,非常に高価であり,費用対効果は良くないということで,その4つの医薬品の腎細胞がんの使用を推奨しないと発表していましたが,2月4日,これらの薬剤について推奨がまとめられたと発表しています。

...続きを読む