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ASCO2011情報:エルプラットとティーエスワン併用療法は,XELOX療法と同等またはそれ以上の効果があるかも!

カテゴリ : 
がんの薬物療法
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[更新日:2011年6月10日]
 進行大腸がんに対する1次化学療法として,オキサリプラチン(商品名エルプラット),5-FU,ホリナート併用のFOLFOX療法が標準治療として評価されていますが,オキサリプラチンとカペシタビン(商品名ゼローダ)の併用のXELOX療法がFOLFOX療法と非劣性が証明され,XELOX療法も広く行われています。先日,米国シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)で,転移性大腸がんの1次療法として,オキサリプラチンとS-1(商品名ティーエスワン)との併用のSOX療法のオキサリプラチンとカペシタビンの併用のCOX療法(XELOX療法と同じ)に対する非劣性を評価する韓国のランダム化比較試験結果が報告されています。抄録などの情報に基づいてその結果を紹介します。


Park YS et al. ASCO #3524

対象患者:切除不能転移性大腸がん患者345例

研究デザイン:ランダム化比較試験

層別因子:原発部位(結腸 vs 直腸),前治療 (術後補助療法あり vs なし),病変の状況(測定可能 vs 評価可能)

治療群:
SOX群(172例):オキサリプラチン130mg/m2をday1に静脈内投与。S-1 80mg/m2/日をday1-14に経口投与。
COX群(173例):オキサリプラチン130mg/m2をday1に静脈内投与。カペシタビン2000mg/m2/日をday1-14に経口投与。

効果指標:
(主要評価項目)無増悪生存期間(COX群に対するSOX群のハザード比の95%信頼区間上限が1.4327を超えなければ非劣性があると評価)
(副次的評価項目)全生存期間,奏効率,有害事象

結果:
1. 患者背景因子
:不明

2. 有効性
a. 50%無増悪生存期間
・抄録の情報
 SOX群:7.1ヵ月,COX群:6.3ヵ月
 ハザード比0.809,95%信頼区間0.633-1.033,P=0.087
・消化器癌広場の情報
 SOX群:7.2ヵ月,COX群:6.2ヵ月
 ハザード比0.76,95%信頼区間0.594-0.973,P=0.0286

 ハザード比の95%信頼区間上限が1.4327を超えないので,SOX療法はCOX療法に非劣性があると評価される。学会発表では,両群の無増悪生存期間に有意差が認められ,SOC群が有意に良好。

b. 50%全生存期間(抄録,消化器癌広場の情報は同じ)
 SOX群:20.9ヵ月,COX群:19.9ヵ月
 ハザード比0.897,95%信頼区間0.638-1.260,P=0.5298

 両群の全生存期間に有意差は認められない。

c. 奏効率
・抄録の情報
 SOX群:48.9%,COX群:34.2%
 オッズ比1.81,95%信頼区間1.157-1.2.839,P=0.009
・消化器癌広場の情報
 SOX群:47.3%,COX群:33.5%
 ハザード比1.776,95%信頼区間1.133-2.786,P=0.0120

 SOX群の奏効率は,COX群に比較して,有意に良好。

3. 主な有害事象(グレード2以上)(消化器癌の広場の情報,有意差検定は筆者が計算)
・血小板減少 SOX群:47.3%,COX群:28.3%,P=0.0002
・皮膚異常 SOX群:9.5%,COX群:14.5%,P=0.0005
・悪心・嘔吐 SOX群:42.6%,COX群:29.5%,P=0.0127
・肝機能異常 SOX群:27.8%,COX群:13.3%,P=0.0099

 血小板減少,悪心・嘔吐,肝機能異常の頻度はSOC群に高く,皮膚異常の頻度は,COX群に高い

著者らの結論
 SOX療法は,転移性大腸がんの1次療法として,COX療法に対して非劣性がある。

<コメント>
 転移性大腸がんの1次療法として,オキサリプラチンに併用する経口フッ化ピリミジン製剤の影響をS-1とカペシタビンを用いて検討したランダム化比較試験です。カペシタビン併用のCOX療法(XELOX療法)はすでに標準治療として評価されていますので,COX療法に対するS-1併用のSOX療法の非劣性を評価しています。
 結果は,主要評価項目である無増悪生存期間に関しては,SOX療法はCOX療法に対して非劣性があることが認められ,無増悪生存期間はSOX療法がCOX療法に比較して有意に良好であることが認められました。
 副次的評価項目の全生存期間には両群に有意差がありませんが,奏効率もSOX療法群が有意に良好であることが示されています。
 グレード2以上の有害反応は,血小板減少などの骨髄抑制,悪心・嘔吐,肝機能異常がSOX群に頻度が高く,皮膚異常はCOX群に頻度が高いことが認められています。
 詳細な論文発表を確かめなければ明確なことは言えないかもしれませんが,転移性大腸がんの1次療法としてオキサリプラチンとS-1の併用療法は,標準治療になる可能性を示していると思います。しかし,有害反応プロフィールが異なりますので,患者にあわせた治療薬の選択が必要になるかもしれません。
 フッ化ピリミジン製剤はチミジル酸合成酵素(TS),ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)などの発現状況によって効果が異なることが知られています。S-1はDPD阻害薬の含んだ製剤ですし,カペシタビンはチミジンホスフォリラーゼ(TP)で組織内/細胞内で5-FUに変換されるためにTP発現状況によって効果が変わる可能性もあります。すなわち,フッ化ピリミジン製剤を単純に比較するのではなく,TS,DPD,TPの発現状況や有害反応プロフィールによって使用する薬剤を選択できるようになれば良いと思います。

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