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イレッサと同様に活性型EGFR遺伝子がある非小細胞肺がんに対してタルセバは効果的!

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がん医療総論
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[更新日:2011年2月2日]
 EGFRチロシンキナーゼ阻害剤であるゲフィチニブ(商品名イレッサ)は,活性型EGFR遺伝子変異がある非小細胞肺がん患者の1次療法として,標準化学療法より効果的であることが示されています。エルロチニブ(商品名タルセバ)は,ゲフィチニブより親和性が強いためか,必ずしもEGFR遺伝子変異が必要ではないと報告されてきましたが昨年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)では,ゲフィチニブと同様に,活性型EGFR遺伝子変異がある非小細胞肺がん患者の1次療法として,標準化学療法よりエルロチニブが効果的であるというOPTIMAL試験結果が報告されていました。同様な第III相比較試験(EURTAC試験)がスペインで行われていましたが,この結果でも,OPTIMAL試験と同様に,エルロチニブは活性型EGFR遺伝子変異がある例に効果的であることが認められたと発表されています。


Genentech社プレスリリース
http://www.gene.com/gene/news/press-releases/display.do?method=detail&id=13207

 この試験のプロトコルの詳細は下記のURLを参考にしていただきたいのですが,概略しますと次のようになります。
EURTAC試験プロトコル
http://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT00446225

・活性型EGFR遺伝子変異が認められる進行非小細胞肺がん患者の1次療法として,エルロチニブとプラチナ製剤を含む化学療法の効果を比較するランダム化比較第III相試験
・主要評価項目は,無増悪生存期間。副次的評価項目は全生存期間,1年全生存期間,奏効率,安全性。
・プラチナ製剤を含む化学療法のレジメンは,シスプラチンとゲムシタビン併用,シスプラチンとドセタキセル併用,カルボプラチンとゲムシタビン併用,カルボプラチンとドセタキセル併用を用いる

 結果の詳細なデータは発表されていませんが,中間解析結果で主要評価項目である無増悪生存期間が,化学療法群に比較して,エルロチニブ群が有意な結果が得られたために,独立データモニター委員会が試験の中止を推奨したと発表されています。
 
 Roche社などでは,このデータを基に,米国FDAに活性型EGFR遺伝子変異がある進行非小細胞肺がんの1次療法として,エルロチニブの適応拡大申請をするようです。欧州EMAには2010年に申請済み。

<コメント>
 ゲフィチニブの活性型EGFR遺伝子変異が認められる非小細胞肺がんの試験結果は,日本人を中心とするアジア人での結果ですので,スペインでの試験でも同様に活性型EGFR遺伝子変異がある例に,エルロチニブが効果があることを示したことは意義があると思います。
 しかし,プレスリリースのニュアンスは,1次療法としては,活性型EGFR遺伝子変異がある例に,2次療法としては,これまでと同じく,活性型EGFR遺伝子変異の有無に関係ない適応になると思われるのですが,これには少し抵抗があります。
 エルロチニブは優れた薬剤であることは異論がありませんが,ざ瘡様皮疹や致死的な有害反応である間質性肺炎が認められますし,高薬価であることを考えれば,1次療法であろうと,2次療法であろうと,より効果が期待できる患者に投与することが必要と思います。
 EGFR遺伝子変異が認められなくても効果がある患者があるということをいわれる製薬企業の担当者もいますが,出来るだけ効果が期待できる患者に投与を進めることが重要ではないでしょうか?

<関連情報>
ESMO2010:活性EGFR遺伝子変異がある非小細胞肺がんの1次療法としてタルセバが有効!
http://clinicalscience.info/modules/canser_info_blog/details.php?bid=348
タルセバもEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者の1次療法として化学療法との比較試験を開始
http://clinicalscience.info/modules/canser_info_blog/details.php?bid=304
ASCO2010:やはりタルセバも効果発現にはEGFR遺伝子変異が必要か?
http://clinicalscience.info/modules/canser_info_blog/details.php?bid=334
学会情報:EGFR遺伝子変異は,タルセバの効果予測因子になる!?
http://clinicalscience.info/modules/canser_info_blog/details.php?bid=231
EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん患者の1次療法として,標準化学療法よりイレッサが効果的!(NEJ002試験)
http://clinicalscience.info/modules/cancer_research/details.php?bid=1933
EGFR遺伝子変異が認められる進行非小細胞肺がんに対するイレッサと化学療法の効果比較試験(WJTOG3405試験)
http://clinicalscience.info/modules/cancer_research/details.php?bid=1857
進行肺腺がんに対するイレッサと標準化学療法の効果を比較したIPASS試験結果が論文発表されました
http://clinicalscience.info/modules/cancer_research/details.php?bid=1777
タルセバの効果予測因子に人種差はあるか?
http://clinicalscience.info/modules/cancer_research/details.php?bid=1463
臨床的背景因子でもタルセバの適応を決めることができるかもしれません
http://clinicalscience.info/modules/cancer_research/details.php?bid=1458
タルセバは喫煙者には効果を発揮しない
http://clinicalscience.info/modules/cancer_research/details.php?bid=1455
台湾人の非小細胞肺がん患者に対してはタルセバの有効性は高い!?
http://clinicalscience.info/modules/cancer_research/details.php?bid=1437
タルセバは高齢者にも効果が期待できるが,有害反応が多い!!
http://clinicalscience.info/modules/cancer_research/details.php?bid=1435

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