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ベクチビックスは頭頚部がんの1次療法として化学療法との併用効果は認められない?!

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 キメラ化抗EGFR抗体であるセツキシマブ(商品名アービタックス)は,再発または転移性の頭頚部がんにプラチナ製剤との併用で優れた効果が認められています。Amgen社は,8月11日,再発または転移性の頭頚部扁平上皮がんの1次療法として,シスプラチンと5-FU併用化学療法に完全ヒト抗EGFR抗体であるパニツムマブ(商品名ベクチビックス)の併用効果を検討したSPECTRUM試験で,併用効果が確認できなかったと発表しています。


Amgen社プレスリリース
http://wwwext.amgen.com/media/media_pr_detail.jsp?year=2010&releaseID=1459027

 SPECTRUM試験は,再発または転移性の頭頚部扁平上皮がんを対象に,1次療法として標準化学療法であるシスプラチンと5-FU併用の化学療法単独群とパニツムマブ併用群との効果を,主要評価項目を全生存期間,副次的評価項目を無増悪生存期間,奏効率などとして比較したものです。
Amgen社の発表による結果は次の通りです。

・50%全生存期間 パニツムマブ併用群:11.1ヵ月,化学療法単独群:9.0ヵ月
ハザード比0.87,95%信頼区間0.73-1.05
・50%無増悪生存期間 パニツムマブ併用群:5.8ヵ月,化学療法単独群:4.6ヵ月
ハザード比0.78,95%信頼区間0.66-0.92
・奏効率 パニツムマブ併用群:36%,化学療法単独群:25%

 副次的評価項目である無増悪生存期間ではパニツムマブ併用群で有意な改善を認めていますが,主要評価項目である全生存期間に関しては,有意差が認められていません。

 セツキシマブ併用の効果を比較した試験での50%全生存期間は,セツキシマブ群10.1ヵ月,化学療法単独群7.4ヵ月と報告され,無増悪生存期間は検討されていません。これらの試験結果を比較しますと,SPECTRUM試験のパニツムマブ併用群,化学療法単独群ともに50%全生存期間が良好の傾向を示し,特に化学療法単独群が良好の傾向を示しています。このことが,SPECTRUM試験で両群の有意差が認められない結果になったと思われます。また,奏効率に関しても同様に,セツキシマブの評価を行った試験と同様ですが,化学療法単独群の奏効率が25%と良好であるために有意差となっていないと思われます。
抗EGFR抗体はKRAS遺伝子変異が認められる例には効果を発現しにくいと知られていますが,セツキシマブの頭頚部がんに対する効果は,KRAS遺伝子変異に関連しないと知られています。今回の試験ではKRAS遺伝子変異の影響は検討されていませんが,何故,セツキシマブが有意な全生存期間の改善を認めたのに対して,パニツムマブが併用効果を認めないのかを吟味することが必要になると思いますし,KRAS遺伝子変異などの影響も検討する必要があるように思います。
この結果は,欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で報告されるとのことです。
パニツムマブは日本では武田薬品工業が発売しています。

<関連情報>
頭頸部扁平上皮がんの1次療法としてのアービタックスの効果
http://clinicalscience.info/modules/cancer_research/details.php?bid=1521
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