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米国では,「EGFR抗体の使用はKRAS遺伝子変異があれば勧められない」と添付文書に記載

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がんの薬物療法
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 上皮増殖因子受容体(EGFR)抗体であるセツキシマブ(商品名アービタックス)やパニツムマブ(商品名Vectibix )は転移がある大腸がん治療薬として承認されていますが,KRAS遺伝子変異やBRAS遺伝子変異がある例には効果が期待できないことが報告されています。


 米国臨床腫瘍学会(ASCO)やNCCN(National Comprehensive Cancer Network)では,これらのEGFR抗体使用前にKRAS遺伝子変異の測定を行うことが推奨されています。
 今月,米国FDAは,これらのガイドラインに基づいて,EGFR抗体であるセツキシマブ,パニツムマブの添付文書に「EGFR抗体の使用はコドン12または13のKRAS遺伝子変異があれば勧められない」と記載した添付文書の変更を承認したことを,Bristol-Myers Squibb社,Amgen社が発表しています。
Bristol-Myers Squibb社プレスリリース
Amgen社プレスリリース


 転移のある大腸がんの約40%にKRAS遺伝子変異が認められることが知られていますし,また,KRAS遺伝子変異がない野生型でもBRAF遺伝子変異があれば予後不良であることも知られています。
 高価な薬剤ですので,より効果が期待できる例を選択して投与すべきと思いますので,確立されたバイオマーカーを用いて,投与患者の選択を行う,米国FDAの判断は正しいことと思います。
 日本では,臨床腫瘍学会がKRAS遺伝子変異とEGFR抗体の研究状況をまとめていますが,EGFR抗体の使用前にKRAS遺伝子変異を測定するようには推奨していませんし,行政当局からもコメントはありません。日本でも,このような早くこのような方針が出されるよう期待したいと思います。

<関連情報>
NCCNは,アービタックス投与前にKRAS遺伝子変異を確かめることを推奨
http://clinicalscience.info/modules/canser_info_blog/details.php?bid=255
アービタックスはKRAS遺伝子変異があれば,効果を発揮しない!!
http://clinicalscience.info/modules/cancer_research/details.php?bid=1549
KRAS遺伝子変異がなくても,BRAF遺伝子変異があれば,アービタックスは効果を示さない
http://clinicalscience.info/modules/canser_info_blog/details.php?bid=251
KRAS,BRAF及びPIK3CAの遺伝子変異は大腸がんの予後因子?効果予測因子?
http://clinicalscience.info/modules/cancer_research/details.php?bid=1756
アービタックスは,KRAS遺伝子変異がなく,PTEN陽性の転移性大腸がん患者に効果が高い
http://clinicalscience.info/modules/cancer_research/details.php?bid=1703
アービタックスはアバスチンに併用しても効果を減弱するだけかも知れません!!
http://clinicalscience.info/modules/cancer_research/details.php?bid=1635
KRAS遺伝子変異は,EGFR抗体の効果予測因子であるが,予後因子ではない
http://clinicalscience.info/modules/canser_info_blog/details.php?bid=201
KRAS遺伝子変異は,末梢血でも検出可能!?
http://clinicalscience.info/modules/cancer_research/details.php?bid=1757
アバスチンは,KRAS遺伝子変異にかかわらず大腸がんに効果的!? http://clinicalscience.info/modules/cancer_info/details.php?bid=200
EGFR抗体はKRAS変異があれば効果を発現しない
http://clinicalscience.info/modules/cancer_research/details.php?bid=1377