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アバスチンの全例調査の中間集計結果が公表されています

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薬物療法の副作用対策
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血管内皮増殖因子(VEGF)のモノクロナル抗体ベバシズマブ(商品名アバスチン)の全例調査の中間集計が公開されていますので簡単に紹介します。


 ベバシズマブは,治癒切除不能な進行・再発大腸がん治療薬として,フッ化ピリミジン製剤を含む化学療法の併用で,特定使用成績調査(全例調査)を条件に,2007年7月に承認され,2007年6月11日に発売されています。先日,名古屋で開催された日本癌治療学会でベバシズマブ全例調査の中間集計結果が発表になりました。その情報に関しては,日経メディカルオンラインに掲載されていますが,詳細は,中外製薬(株)のホームページにも掲載されています。
岩崎 順子他(中外製薬他),日本癌治療学会 2008,#S6-8
日経メディカルオンライン記事

中外製薬(株)アバスチン特定使用成績調査

 登録期間は2007年6月11日から2007年11月9日までの5ヵ月で,登録症例数は2712例(登録施設574)。
 非投与などを除いた集計対象の患者数は2698例で,男性が1639例(60.5%),女性1073例(39.5%),年齢中央値は60.3歳(範囲15-86歳)で,PS 0が2211例, PS 1が471例,PS 2が29例,PS 3が1例であったようです。
 ベバシズマブの投与量は5mg/kgが2495例(92.5%),10mg/kgが168例(6.2%)で,投与回数中央値は9回(範囲1~17回)で、10回以上投与された患者が1255人おり、観察期間終了時点での投与継続患者も1383人いた。
 併用化学療法はFOLFOX 療法が1752例,FOLFIRI 療法が761例,5-FU+ホリナート療法が133例,IFL 療法が59例,その他が7例であり,2次治療としての使用が最も多かったようです(84.3%)。
 販売後6 ヵ月時点の重篤な副作用は,2712例で1589例(58.9%)に認められ,重篤な有害反応は381例(14.1%)に認められ,そのうち,消化管穿孔12件,出血24件,動脈血栓塞栓症5件,静脈血栓塞栓症19件等が確認され,投与開始後30日以内死亡例は12例で,ベバシズマブとの因果関係が否定できない死亡例は6例,因果関係を否定できる死亡(原病死等)は6例であったようです。

 日経メディカルオンラインの情報では,ベバシズマブに特徴的な有害反応は高血圧(非重篤12.6%,重篤0.4%)
,出血(非重篤9.9%,重篤1.4%)、鼻出血(非重篤7.1%,重篤0.25%)、蛋白尿(非重篤4.0%,重篤0.1%未満),消化管穿孔(非重篤0.0%,重篤0.9%)、静脈血栓塞栓症(非重篤0.0%,重篤1.3%),動脈血栓塞栓症(非重篤0.1%未満、重篤0.3%),創傷治癒遅延(非重篤0.9%、重篤0.3%),可逆性後白質脳症(非重篤0.0%、重篤0.1%未満)であったと記載されています。
 年齢別には,有害反応の発現率には多くな差が認められていないようです。
 有害反応の出現時期に関しては,中外製薬(株)のホームページに記載されていますので,そちらを参考にしていただきたいと思います。

 日本癌治療学会の他の演題の中にもベバシズマブの安全性が取り上げられていました。

高橋 昌宏他(東北大学加齢医学研究所癌化学療法研究分野),日本癌治療学会 2008,#PS04-09-2
 この発表では,ベバシズマブ投与後に発症した消化管穿孔5症例のリスク因子を分析してました。
 5症例の内訳は全て男性,年齢中央値51歳(37-61歳)。併用化学療法はFOLFOX4療法が4例,FOLFIRIが1例で,穿孔部位は回腸が2例,十二指腸,虫垂,S状結腸が各1例であったようです。
 リスクを分析しますと腹膜播種(オッズ比3.09,P=0.043),NSAIDs服用(オッズ比2.17,P=0.049),オピオイド併用(オッズ比5.59,P=0.002)であることが示されていました。
 腹膜播種がある例は消化管癒着のリスクもありますし,オピオイド服用例では消化管の運動が抑制されます。また,NSAIDsはプロスタグランジンによる消化管の保護作用が阻害される可能性もありますので,腹膜播種,NSAIDs,オピオイド併用例は消化管閉塞のリスクが高くなる可能性があるのは当然かなと思いました。

 ベバシズマブは新たながん治療を切りひらく可能性を秘めた薬剤ですが,致死的な有害反応を予測し,最悪な状態にならないよう予防,対策を行うことが必要と思われます。
 是非,中外製薬(株)のホームページにアクセスし,ベバシズマブの全例調査の結果を読んで,臨床に役立てていただきたいと思います。このような安全性情報が公開されることは,本当に良いことですね。

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