TOP  >  がん総合情報  >  薬物療法の副作用対策  >  FDAが抗てんかん薬投与例での自殺のリスクの増加に関する注意を喚起

がん総合情報

FDAが抗てんかん薬投与例での自殺のリスクの増加に関する注意を喚起

カテゴリ : 
薬物療法の副作用対策
閲覧 (3869)
 米国FDAは,1月31日に,てんかん,精神疾患などの疾患に対する抗てんかん薬(抗けいれん薬)24週投与とプラセボとの比較試験を分析した結果,自殺のリスクが増加することを認め,医療専門職に注意を喚起しています。
FDA情報

 今回対象となった抗てんかん薬は,カルバマゼピン(商品名テグレトール),ガバペンチン(商品名ガバペン),バルプロ酸ナトリウム(商品名デパケン) ,ゾニサミド(商品名エクセグラン )など最近の薬剤が中心です。

 各疾患の自殺のリスクについては,下記のように説明されています。
㈰てんかん
 抗てんかん薬投与例:0.35%,プラセボ投与例:0.1%,絶対差0.25,相対リスク3.6
 てんかんの患者では,抗てんかん薬投与した400例に1例に自殺していることになります。

㈪精神疾患
 抗てんかん薬投与例:0.83%,プラセボ投与例:0.52%,絶対差0.31,相対リスク1.6
 精神疾患患者では,抗てんかん薬投与した323例に1例に自殺していることになります。

㈫その他の疾患
 抗てんかん薬投与例:0.43%,プラセボ投与例:0.22%,絶対差0.31,相対リスク2.0
 その他の疾患では,抗てんかん薬投与した476例に1例に自殺していることになります。

 FDAでは,これらの抗てんかん薬を服用しているまたは開始する全ての患者を密接に観察して,希死念慮や抑うつの増悪,行動の変化をモニターすべきであると勧告しています。
 そして,下記に示すように,医療専門職,患者,家族または介護者への注意をするよう勧告しています。

○抗てんかん薬を処方する医療専門職への注意
・その薬剤の臨床的必要性と自殺のリスクのバランスをよく考えること
・抑うつや希死念慮や行動異常が悪化する可能性をよく知ること
・患者,家族または介護者にこのリスクを伝えること

○患者,家族または介護者への注意
・抗てんかん薬を服用することにより自殺したいという気持ちや行動が増加する可能性があります。
・主治医に相談なく服用する薬剤や投与量を変更してはなりません。
・日々の気持ち,行動の変化によく注意してください。
・自殺をしたいという気持ちになる徴候をよく知ってください。
 それらには,次のものがあります。
 a. 自分自身を傷つけたい,または人生を終えたいということを話したり,考えたりします。
 b.友人や家族を遠ざけたりします。
 c.気持ちが落ち込んだり,その落ち込みが悪化したりします。
 d.死や死ぬことに心が奪われたりします。
 e.尊敬する専門職にそのことを打ち明けたりします。

 今回のデータをみますと,抗てんかん薬を24週投与した例では323〜476例に1例に自殺が認められたことになり,頻度は高くないと考えられます。
 しかし,このデータは,対象患者を制限し,患者がよく管理された臨床試験のデータですので,対象条件を制限しない,また種々の薬剤を併用することが多い一般臨床の場では,頻度がより高くなっていると考えられます。
 これらの抗てんかん薬は,緩和ケアの場では,電撃性のしびれを伴うような神経障害性疼痛に使用することあります。神経障害性疼痛はその他の疾患に分類されると思いますが,多くのがん患者は,抑うつや不安がありますので,精神疾患にも当てはまるのかもしれません。

 自殺の頻度は少ない可能性がありますが,抗てんかん薬を使用する際には,FDAが勧告するように,患者の精神状態,行動をモニターすることが賢明と思われます。

ログイン

ユーザ名:

パスワード:



パスワード紛失