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がん化学療法による倦怠感に鍼治療が有効!!

カテゴリ : 
倦怠感
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 先日,乳がん患者のほてりに鍼治療が有効である可能性をお伝えしましたが,最新のComplementary Therapies in Medicine誌にがん化学療法による倦怠感に対する鍼治療,ツボの指圧とエネルギーに関連がなりツボへの指圧(sham指圧,対照群)の効果を比較したランダム化比較試験結果が掲載されていました。
Molassiotisa A et al. Complementary Therapies in Medicine 2007;15: 228-237

対象患者:がん化学療法の経験後1ヵ月経過しているのにも関わらず倦怠感を訴えるがん患者47例

方法:次の3群にランダムに割り付け,倦怠感の質問票(Multidimensional Fatigue Inventory )の倦怠感の項目に対する効果を比較

鍼治療群:LI4,SP6及びST36の3点に0.5-1.0インチ鍼を挿入する20分間の鍼治療を,週3回2週間実施(今回は個人にあった鍼治療はしていない)。会話は最小限にとどめる。
指圧群:3点のツボに指圧,1ヵ所1分,毎日2週間指圧を実施
Sham指圧群(対照群):エネルギーに関連しないツボ(LI12,GB33及びBL61)を1ヵ所1分,毎日2週間指圧を実施

結果:
・全般的倦怠感:
鍼治療群:治療前16.4±2.4,2週の治療終了後10.5±3.0,治療終了2週後12.8±3.2
指圧群:治療前16.6±2.7,2週の治療終了後13.4±3.0,治療終了2週後14.0±2.4
対照群:治療前17.8±2.5,2週の治療終了後17.7±2.6,治療終了2週後16.9±3.0
P<0.001

・身体的倦怠感
鍼治療群:治療前16.4±2.7,2週の治療終了後12.7±4.0,治療終了2週後13.4±4.1
指圧群:治療前16.2±2.9,2週の治療終了後14.9±3.5,治療終了2週後14.5±3.2
対照群:治療前17.4±2.3,2週の治療終了後18.0±2.9,治療終了2週後17.0±2.6
P=0.016

・活動度
鍼治療群:治療前14.5±3.8,2週の治療終了後10.5±4.8,治療終了2週後12.0±4.4
指圧群:治療前14.8±3.5,2週の治療終了後11.6±4.5,治療終了2週後12.4±3.7
対照群:治療前17.7±2.2,2週の治療終了後17.0±2.5,治療終了2週後16.4±3.1
P=0.004

・意欲
鍼治療群:治療前13.0±3.6,2週の治療終了後9.4±3.8,治療終了2週後9.2±4.3
指圧群:治療前9.7±4.2,2週の治療終了後8.1±4.0,治療終了2週後8.5±3.2
対照群:治療前13.7±2.9,2週の治療終了後12.8±2.9,治療終了2週後13.1±3.7
P=0.024

・有害事象:鍼治療群に出血斑や鍼治療部分の不快感などを認めています

 このような結果から,鍼治療が,指圧やsham指圧より,倦怠感が改善し,治療終了2週後も改善効果が維持されていることから,効果が持続する可能性が示されました。
 この試験は,実行可能性試験を兼ねているところもありますので,仕方がないところもありますが,症例数が少ないために明確なことは言えません。
 今回の試験では,患者を層別していませんので,対照群に倦怠感が不良の例が多い印象があります。また,個々の患者で「症をとる」ことを行っているようですが,患者には,その「症」に合わせた治療を提供していません。
 鍼治療や指圧などの中国医療は,個々の患者の「症」に合わせて治療と思いますので,「症」に合わせた治療をしていないというのは,どのような意味があるのかなと少し疑問になります。
 さらに,鍼治療や指圧は術者の技術にも影響すると思います。
 このような中国医療の評価を西洋医学の概念で評価することは正しいことなのかと疑問に思いますが,症例数を重ねて,効果に関連する因子(「症」を含む)を明確にして,中国医療の評価法を確立した上で,評価すべきことかも知れません。
 しかし,鍼治療や指圧が効果がある可能性が示されることは,今後の医療を考える上で極めて重要なことと思います。

 がん化学療法による倦怠感に関しては,運動療法やコンサルテーションが有効という報告もあります。これらを組み合わせて,患者さんの苦悩が緩和されることが出来ることを期待しています。 

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