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がんの痛みPart10:がんの痛みをとる治療を要求して下さい

カテゴリ : 
緩和ケア
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’Pain relief should be a human right whether people are suffering from cancer HIV/AIDS or any other painful condition’
 「がん,エイズや他のいずれの痛みがある状態にあるいずれの人達にとって,痛みから解放されるということは人間としての権利とされるべきである」
 この言葉は,世界保健機関(WHO)が発表したInternational Association for Study of Pain(IASP)の会長Michael Bond教授の言葉です。
 これには,痛みのある患者さんは痛みを軽減する治療を受ける権利があることを意味し,医師は患者さんの痛みを軽減する義務があるとことを意味していると思います。

 同様のことは,日本ホスピス・緩和ケア協会会長である山崎章郎先生が,今年2月20日放映されたNHK第13回がんサポートキャンペーン「心と体の痛みをとるために」という番組で話されています。

 山崎先生は,「がんの痛みというのは,正しい痛みのコントロールをしなければ,患者の人格を崩壊させてしまいます。そのことによって家族も崩壊してしまいます。痛みを取る手段は確立されているわけです。ガイドラインがあるにも関わらず、適切な痛みの処置が行われていない患者さんがいるということは,医療現場で行われている暴力行為と同じです。法廷の場で告訴して争うことも十分可能だと考えられます。そういう行動を起こされてもしかたがないくらいのことをしているんだと医療者は感じるべきです。(中略)正しいガイドラインがあるのですから,医療者は痛みに苦しむ患者とその家族と,まずは向き合って欲しいものです」と強調されています。

 山崎先生の著書である「新ホスピス宣言(雲母書房)」の中で,この番組での発言の裏話を書かれていますが,山崎先生は,本番前に,岩手の事例をみて,怒りがこみ上げ,「(確立された治療法があるのに)これは犯罪と同じだ」と発言したらしいのですが,本番では「暴力行為と同じです。法廷の場で告訴して争うことも十分可能だと考えられます」となったと告白されています。

 WHO方式がん疼痛治療法も,日本緩和医療学会のがん疼痛治療ガイドラインも,医療専門職であれば,それ程,難しいものではありませんので,これらを知ろうとしない,患者さんの痛みをとろうとしない医師を初めとする医療専門職は,職業倫理上問題が大きいと思いますが,痛みをとる治療を要求するのは患者さんの権利ですので,遠慮しないで痛みの治療を要求してください。

 がんの痛み治療のことを知らない医師などの医療専門職もいると思いますが,皆さんが教えてあげることも必要かも知れません。

  今一度,がんの痛みの治療について,簡単にお伝えします。

1. どのくらい痛いのか、からだのどの場所がどのように痛むのか、またどんなときに痛むのかなどご自分の痛みを医師や看護師に正確に伝えましょう。

2. 軽度の痛みの時には,アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用しますが,痛みが強くなれば,モルヒネなどのオピオイド製剤を使います。

3. モルヒネなどのオピオイドは,患者さんの痛みにあわせた投与量を選択することになります。

4. モルヒネなどのオピオイド製剤は定められた時間に規則正しく服用してください(痛み止めの薬によっては投与間隔が異なります)

5. モルヒネなどのオピオイド製剤は効果が出る前に吐きや便秘が発現しますので,下剤や吐き気止めの投与が必要になります(吐き気は1〜2週間で治まることが多いので,その場合には吐き気止めを中止します)。

6. 痛みにあわせた適切な投与量を服用すれば,中毒や呼吸抑制などの副作用は見られません。

7. 薬を口から服用できなくなったら,坐薬,注射,貼り薬があります。

8.眠気が続いたり,瞳孔が小さくなったり,呼吸数が減ったりした時は,モルヒネなどのオピオイドの投与量が過剰である可能性がありますので,投与量を減らしたり,投与間隔を広げたり,また,他のオピオイドに変更するなどの対処が必要となりますので,その場合には医師,看護師にお伝え下さい。