TOP  >  がん情報サポート  >  緩和ケア  >  がんの痛みPart7:がんの痛みの治療に使う薬

がん情報サポート

がんの痛みPart7:がんの痛みの治療に使う薬

カテゴリ : 
緩和ケア
閲覧 (6387)
 がんの痛みの治療に使う薬についてお伝えします。

<アセトアミノフェン>
 アセトアミノフェンはかなり前から使用されてきた解熱鎮痛薬で多くの商品があり,街の薬局でも購入できるものもあります。
 アセトアミノフェンはアルコール中毒の方や1日4g以上の大量の服用で肝機能障害が問題になることがありますが,がん疼痛治療で用いられる投与量(1日2.4g以下が多い)では,副作用が問題になることは少ないと思います。
 しかし,アセトアミノフェンは,非ステロイド性抗炎症鎮痛剤NSAIDに比較して,炎症に対する効果が弱いことが知られていますので,炎症がある場合にはNSAIDの方が効果的であると思います。

<非ステロイド性抗炎症鎮痛剤(NSAID)>
 がんの場合には,炎症があることが多いと知られていますので,NSAIDを投与して,炎症による痛みを和らげることが多いと思います。NSAIDは数多くの薬が利用可能ですが,NSAIDの場合には,胃を荒らす副作用がありますので,胃潰瘍の経験がある方は注意が必要ですし,胃薬の併用が必要になる方もいます。
 胃を荒らす副作用が少ないNSAIDもありますが,鎮痛効果はやや弱いとの印象もあるようです。

<リン酸コデイン>
 コデインは肝臓で代謝(分解)されてモルヒネに変換し,鎮痛効果を発揮すると考えられています。
 効力は,モルヒネの約1/6と考えられ,リン酸コデイン20mgはモルヒネ3.3mgに相当します。言い換えますと,リン酸コデイン20mgから投与を始めるということは,モルヒネ3.3mgから投与するということと同じですので,少量からモルヒネを投与するというのに適していると思います。
 しかし,リン酸コデインも昔からの薬ですので,最近は,リン酸コデインの代わりにオキシコドン(商品名オキノーム,オキシコンチン)5mg投与から始める医師が多くなっているようです。

<モルヒネ>
 モルヒネはがんの痛み治療の第一選択薬です

 モルヒネは痛みがある状態で,痛みをとるのに必要な投与量を決め,必要量を規則正しく投与すれば,精神異常や呼吸機能の抑制などの命に関わる副作用は殆どなく安全な薬です
 しかし,モルヒネの鎮痛効果が現れる投与量より低い投与量で便秘や吐き気が起きますので,便秘対策やナウゼリン,ノバミンというような吐き気止めの服用など対策が必要になります。吐き気は投与1〜2週間で改善しますので,その時には吐き気止めを中止することになります。
 モルヒネの製剤には,内服薬,坐薬(商品名アンペック),注射薬があり,内服薬は服用後15分くらいから聞き始め4時間後には効果がなくなる即効性製剤(速放製剤)と効果が出始めるのが1時間後と比較的ゆっくりなのですが12時間くらい効果が持続する12時間持続製剤(MSコンチン,MSツワイスロン)と24時間持続する24時間持続製剤(商品名カディアン,ピーガード,パシーフ)があります。速放製剤には,錠剤と粉末と水溶液製剤(商品名オプソ)があります。

 患者さんに適したモルヒネの投与量が決まるまでは速放性剤で投与することが望ましいと思います。
 痛みが強くなると,モルヒネなどを増量することがあります。一般のくすりは上限がありますが,モルヒネなどは上限がありません。
 モルヒネは腎臓機能が悪くなると身体から排泄されなくなりますので,体内に必要以上(過剰)のモルヒネが残ることがあります。
 モルヒネが過剰に体内にある時には,瞳孔が小さくなり,眠気が出てきますので,その反応をチェックしていただければいいと思います。更に過剰になりますと,幻覚などおかしなことを話すなどの精神症状や呼吸数が少なくなることがありますので,その時には,モルヒネの投与量を少なくするか,投与間隔を広げるか,オキシコドンやフェンタニルパッチ(商品名デュロテップパッチ)に変更することをお勧めします。

<オキシコドン> 
 モルヒネに似た薬剤ですが,腎臓機能が悪くなっても副作用が強くなると言うことはありません。現在,オキシコドンには,服用後15分くらいから聞き始め4時間後には効果がなくなる速放製剤(商品名オキノーム散)と12時間持続製剤のオキシコンチンがあります。
 しかし,グレープフルーツジュースやある薬との相性が良くない場合もありますので,併用薬がある時には,薬剤師の方に飲み合わせの相性をお聞き下さい。

<フェンタニルパッチ>
 フェンタニルパッチ(商品名デュロテップパッチ)は3日ごとに貼り替える貼り薬です。 フェンタニルパッチは,強力な優れた鎮痛薬ですが,貼り薬ですので,皮膚の状態によっても吸収が異なります
 しわが多いところでは,吸収が悪く,痛みをとるためには何枚も貼る必要がでてくることがあります。また,貼るところの温度や体温によっても吸収が影響され,お風呂で身体が暖まったり,熱が出たりした時には,吸収が良くなり,必要以上の薬が身体に入ることになりますので,注意が必要と考えられています。
 また,昨年7月,アメリカの厚生労働省というべきFDAから,「フェンタニルパッチは,これまでに十分にモルヒネを使っていない患者に投与しないこと」という警告を出しました。痛みがあるからといって,フェンタニルパッチをすぐに貼ると必要以上の量が身体に入り,呼吸がしにくくなる(呼吸抑制)など命に関わる副作用が出る危険性を指摘したのです。 
 フェンタニルパッチも,オキシコドン以上に相性が悪い薬があり,相性が悪い薬と一緒に使うと副作用が出る可能性がありますので,一緒に使う薬がある時には薬剤師の方に相性をお聞き下さい。
 フェンタニルパッチは,貼ればいいという簡便さでかなりの多くの患者さんに使用されていますが,使い方を間違えば危険であるということはあまり知られていないようです。
 フェンタニルパッチは,サロンパスやトクホンのように痛い時に痛いところに貼る薬ではないことをご理解いただければと思います。