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がん治療は,適切な運動や食事が基本

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がんの療養生活
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 8月22日の医療関係者向けの「がん医療Webセミナー」で紹介した研究について,こちらでも紹介させていただきます。
がん医療Webセミナー:興味ある結腸がんの共同試験の結果

 この研究は,III期の結腸がんの患者さんを対象として,手術後の化学療法の効果を比較したCALGB89803試験と名付けられた研究で,化学療法の効果,運動の効果,食事の影響を合わせて検討しているものです。
 結果は,手術後に毎週の5-FUとホリナート(商品名ロイコボリン)療法にイリノテカン(商品名カンプト他)を併用治療は,再発なしの生存率や全ての原因による死亡を考慮した全生存率を改善しないだけでなく,命に関わるような副作用も増加することが認められています。イリノテカンを含むこの併用治療は転移性大腸がんで有効性が認められていますが,術後には適さないのかも知れません。
がん医療セミナー:結腸がんの術後補助化学療法の試験から

 この研究では,運動や食事の影響も調べています。
 運動に関しては,研究期間に行ったウォーキング,ジョギング,ランニング,自転車,水泳なとの身体活動の患者記録に基づいて,身体活動性をmetabolic equivalent task (MET)-時間を算出しています。1METは1時間静かに座っているエネルギー消費量に相当します。週あたりの metabolic equivalent task (MET)-時間が 3時間未満の患者さんと比較して,MET-時間が 18-26.9時間の患者さんの無病生存期間は有意に良好で調整ハザード比0.51 (95% 信頼区間0.26〜0.97),27時間以上でもハザード比0.55(95%信頼区間0.33〜0.91)と有意に良好な結果を示しています。すなわち,週あたりMET-時間が18時間以上の患者さんは再発リスクが45〜49%減少することが認められ,運動をすることにより身体活動性を維持することは,再発が抑制される可能性が示唆されました。
 診断後の身体活動も同様に無再発生存率(P for trend =0.03)や全生存率の改善 (P for trend =0.01)に有意に関連することが認められています。しかし,身体活動の効果は性別,BMI,リンパ節転移個数,手術前の全身状態や受けた化学療法とは有意な関連が認められていません。
Meyerhardt JA et al. J Clin Oncol. 2006;24:3535-41
海外癌医療情報リファレンス

 この研究に参加した患者さんに,補助化学療法中および6カ月後の患者が記載した食事内容について質問した結果を基に,野菜や果物,鶏肉,魚を多く食べる患者さんの群と肉,脂肪,精製穀類やデザートを多く食べる西洋食を沢山食べる患者さんの群に分け,予後を比較しています。
Meyerhardt JA et al. JAMA. 2007 Aug 15;298(7):754-64.

 診断後,西洋食を多く食べる患者では無病生存率が有意に不良であり,西洋食の程度を4分割して,最も西洋食が少ない患者に比較して,西洋食を最も多く食べる患者の無病生存期間(調整ハザード比3.25,95%信頼区間2.04-5.29,P for trend<0.001),全生存期間(調整ハザード比2.32,95%信頼区間1.75-4.63,P for trend<0.001)と有意に予後が不良であることを認めています。すなわち,西洋食を多く食べる患者さんは,西洋食をあまり食べない患者さんに比べて,再発リスクがかなり増加することが示唆されます(リスクは3.25倍に増加)。

 まとめますと,III期結腸がんでは,術後補助療法としてイリノテカンを5-FU+ホリナート療法に併用しても再発や生存期間には影響を与えず,むしろ命に関わる副作用が増加していますので,これらの併用療法は術後に行っても意味がないと言う結果でしたが,この研究に参加した患者さんでは,運動を行うことで身体活動性を維持・向上している患者で再発が抑制され,西洋食を多く食べる患者さんでは,再発リスクが増加する可能性が示された訳です。
 患者さんも医療専門職の方も,化学療法などの治療面を重視し,運動や食事を軽視する傾向があると思いますが,これらの結果は,癌医療では,運動や食事の普段の生活様式が重要で,その上で適切な治療を考えることが必要ということを示唆しているように思います。
 皆さんの療養生活の参考になれば幸いです。

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