TOP  >  がん情報サポート  >  がん医療総論  >  がん対策推進基本計画

がん情報サポート

がん対策推進基本計画

カテゴリ : 
がん医療総論
閲覧 (2019)
 厚生労働省のがん対策推進協議会で,がん対策基本法に基づくがん対策基本計画案を検討していましたが,5月30日の会合で計画案がまとめられたことがマスコミ各社から報道されています。
読売新聞記事

 詳細な計画案については不明ですが,報道によりますと,全体目標として,㈰がんによる75歳未満の年齢調整死亡率を10年以内に20%減,㈪すべてのがん患者と家族の苦痛の軽減と療養生活の向上の二点を掲げ,重点課題を今後5年間に,㈰がんの放射線療法と抗がん剤療法の推進,専門医の育成,㈪がん治療の初期段階から,痛みなどを軽くする緩和ケアの実施,㈫がん患者の状況を把握するがん登録の推進を定めたようです。
 更に委員の意見を基本計画に付記し,都道府県のがん対策推進計画の策定作業に患者や家族が加わることや,基本計画の進行状況を速やかに把握・評価する体制を協議会の下に作ることなどを提案したようです。
 今回のがん対策基本計画案は,専門家だけでなく,患者さんやご遺族の方が参加して作成した初めてのものですので,非常に意味のあることと思います。
 しかし,気になる点もいくつかあります。患者団体のリーダーが必ずしも患者さんではなく,ご遺族の方がなっているものがあります。それならば,患者団体というのではなく「遺族の会」と言った方が正確ではないかと思います。「患者中心のがん医療」を目指すのですから,そのような患者団体のリーダーがマスコミなどに前面に出てくるのではなく,あくまでも患者さんを側面から支えるような活動をして頂いた方が誤解されなくて済みますし,「患者中心のがん医療」をより推進できると思います。
 患者団体が圧力団体化しているのは,これまでの脆弱ながん医療や今の日本の風潮が影響しているのかも知れませんが,そのことによって,将来,問題を起こすこともあるのではと心配しています。個人的には,患者同士が励まし合う,学びあうという患者会本来の姿を忘れてはならないようは思っていますし,そのように活動する患者会を応援したいと思っています。

 がんの専門医の育成についても基本的に正しいことと思いますが,専門医の風潮が,現在の医師不足を招いているという意見もあります。医師不足のなかで,専門医だけが増えても,結局は,質の高いがん医療は実現できませんので,医師不足解消と専門医の育成を同時に行っていかなければならないと思います。
 がん対策基本法が成立してから,緩和ケアの専門家は,千載一遇のチャンスとばかりに張り切っておられます。確かに,これまで顧みられなかった緩和ケア,特にがん疼痛治療や在宅ケアに注目が集まっていることは,本当に良いことと思います。
 しかし,人間性を重んじる緩和ケアの分野に,新たな権威化がみられ,新たな利権が動き出しているような印象もあります。杞憂であればよいのですが・・・・ 
 これまでの緩和ケアの専門家は,終末期のケアの専門で,がん治療に関わってきていない方が多くありません。「がん治療の初期段階から,痛みなどを軽くする緩和ケアの実施」を実現するには,専門的な治療は腫瘍外科医,腫瘍内科医,放射線腫瘍医のような専門家がしても,緩和ケア医がその治療内容を理解していなければ,がん治療の早期段階からの疼痛緩和は実現できないと思います。これを実践するのは,現在の緩和ケア医なのでしょうか?先日,お伝えした
がん治療認定医なのでしょうか?
 個人的には,患者さんやご家族が安心してがん医療が受けられれば,どちらでも良いと思いますが,がん治療認定医ががん疼痛治療や緩和ケアが実践できるようになれば,そちらの方が理想的なのかなという気もします。

 がん対策基本法は,患者中心のがん医療を実現するための法律と思いますので,自分の立場を有利にするために,私利私欲のために,この基本法やがん患者さんを利用してはならないと思います。
 どちらにしても,がん対策基本計画を実践することは一筋縄ではいかないことばかりと思いますので,患者さんが,安心して,安全ながん医療を受けられるように,患者さんもご家族の方も,そして医療専門職も,お互いに力を合わせて,努力しなければならないと思います。

ログイン

ユーザ名:

パスワード:



パスワード紛失