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連載:納得してがん医療を受けていただくために-Part 1 がんと診断されたら

カテゴリ : 
がんの薬物療法
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 これまでも,「患者中心のがん医療」の実現を願い,種々,お伝えしてきました。改めて,多くの方々が納得してがん医療を受けていただくために,どのようにすれば良いのかを,これまでの薬学専門の立場からお伝えしたいと思います。第1回目は,「がんと診断されたら」をまとめました。


 どんな人でも悪い話を聞くときには,冷静には聞けないものです。特に,「がん」のことに関しては,「死」を連想することが多いと思いますので,医師の話を冷静に聞くことは不可能かもしれません。ましてや,医学の専門用語を使って説明を受けても理解は不可能に近いかもしれません。
 しかし,出来るだけ冷静に医師の診断結果を聞くことは,その後の治療を選択するためには,重要なことと思います。
 冷静に医師の話を聞くために,以下の方法をお勧めします。

①家族とか友人など信頼できる人と一緒に医師の説明を聞くこと。
 信頼する人がそばにいるだけで安心できますので,少しは冷静になれるかもしれません。それでも,医師は専門用語を使って説明することが多いと思われますので,理解しにくいことも多いかもしれません。理解できなければ,何度でも,理解できるまで,質問する方がよいと思います。

②録音器を持参し,医師の説明を録音すること。
 録音する場合には,医師に「録音してもいいですか」と了承をもらってください。多くの医師は録音を断らないと思いますが,録音する場合の礼儀であると思います。もし,医師が録音を断ることがありましたら,その医師は信頼できないかもしれません。

③説明は言葉だけでなく,医師にノートに書いていただくこと。
 医師にノートに書いて頂くことにより,医師もよりわかりやすく,みなさんに理解できるように説明することが多くなります。また,後からそのノートをみることで理解が深まると思います。

④勧められた治療法を鵜呑みにしないこと。
 勧められた治療を鵜呑みにするのではなく,医学的知識がある人に録音テープを聴いてもらったり,ノートをみせて,意見を聞いてから決断することをお勧めします。医学的知識のある方が身近におられない時には,他のクリニックや病院でセカンド・オピニオンを受けられると良いと思います。

⑤わからないことがあったら何度でも質問すること。
 ご自身の治療のことですので,「わからない」ことは「わからないので教えてください」と何度でも質問するようにしましょう。

 以上のような準備をしたうえで,つぎに以下のような説明が医師から行われるかどうかを確認してください。

①診断の根拠は何か?
 一般にがんであることを確定診断するためには,その組織から採取した細胞を組織学的に確認する必要があります。X線やCTなどで影があっても,腫瘍マーカーが高くても,「がんの疑い」というだけで,確定診断されたとは言えません。

②どこの部位(臓器)のがんで,どの程度進んでいるのか?
 がんがどこに発生しているか(部位),どの程度進行しているか(進行度)など,患者さんの状態で最適な治療法が変わりますので,この情報はとても重要です。

③治療法にはどのようなものがあり,医師はどれを勧めるのか? その理由は?
 治療法を選択することは,本当に重要なことですので,慎重に決める必要があります。
 治療法にはいくつかの選択肢があります。また,診療科によって勧める治療法が異なる可能性があります。例えば,外科の医師は,手術の知識が豊富ですので,手術を勧めることがあると思いますし,放射線科の医師は放射線療法を勧めることが多いと思います。
 治療法を選択する時には,皆さんと同じような病状の患者さんを対象とした臨床研究で,優れていると認められた標準治療といわれる治療の中から,皆さんの価値観,好みに合わせて選択することが望ましいと思います。

 担当の医師の説明で納得が出来ない場合には,他の医師の意見を聞く,セカンド・オピニオンを受けられるのもよいと思います。

 「がん」と診断されても,ごく早期の場合には,手術などで治癒(治る)する可能性が非常に高いですし,早期でなくても,がんの種類や適切な治療によって,長い年月を健康的に過ごすことも可能であることもあります。「がん」という病名は,「死」を連想する方が多いと思いますが,必ずしも「がん=死」ではありません。
 冷静にご自身の病気のことを知り,適切な治療を選択することは,これからの療養生活などに大きく影響すると思いますので,ご自身で納得できるまで,ご自身の病気のことやご自身の状態を確かめ,信頼できるご家族や友人,そして担当の医師,看護師,薬剤師など,多くの方々と相談してみてください。
 
 次回は,「治療法を選択する前に」をお伝えします。