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がんによる痛みの治療の話題part2

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緩和ケア
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フェンタニルパッチ(商品名デュロテップパッチ)は,優れたがんの痛みの鎮痛薬で,がんの痛みの治療に必要な鎮痛薬ですが,貼り薬でもあり,使いやすいということもあり,間違った使い方が多くなっているようです。


「フェンタニルパッチの安易な増量はご法度」という記事が・・・
 日経メディカルオンラインの10月23日に「フェンタニルパッチの安易な増量はご法度」というリポート記事がありました。この日経メディカルオンラインは会員限定ですので,簡単に紹介したいと思います。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t024/200810/508258.html

がんの痛みの治療の原則は,昨日紹介したWHO方式がん疼痛治療法で,効力の順に鎮痛薬を選択し,コデインやオキシコドンなどのオピオイドを使用する際には,少量から投与し,痛みがとれ,問題とならない投与量を患者さん毎に定めるタイトレーションが重要になりますが,実際には,タイトレーションをきちんと行わないまま,オピオイドの投与量が少なすぎたり多すぎたりで,効果を適切に発揮できていない例が多いと示されています。
 がんの痛み治療の専門医として知られる癌研有明病院麻酔科の服部政治先生は,オピオイドの過剰投与による呼吸抑制を必要以上に恐れ,がんの痛み治療に必要なタイトレーションや突然の痛みに対する臨時追加投与(レスキュー投与)ができないと指摘しているとのことです。
 確かに,オピオイドの過剰投与により呼吸抑制になる危険性がありますが,少量からオピオイドを投与すれば,そのような危険性はほとんどありません

一方,昨日も紹介したようにフェンタニルパッチ(商品名デュロテップパッチ)は用量の細かい調整が難しいため,タイトレーションには適していません。そのため,フェンタニルパッチを使う際には,モルヒネやオキシコドンなどのオピオイドでタイトレーションを行って患者さんに適する投与量を定め,突然に出現する痛みに対する臨時追加投与などの治療をしばらく行なった後に,それらのオピオイドの投与量に相当するフェンタニルパッチの投与量を定め,貼布する必要があります。
 一緒に活動している爽秋会岡部医院の岡部医師も,この記事の中で,「フェンタニルパッチは,適切な手順を踏まずに,フェンタニルパッチを増量して痛みを消失させようとし,結果的に投与量が多くなりすぎてしまう」とコメントしています。さらに,岡部医師は,痛みのアセスメントが適切に行なわれていないため,オピオイドの適応とならない痛みに対しても,フェンタニルパッチを貼り,痛みが取れないためにどんどん増量している例を紹介しています。
 消化管閉塞による痛みや胸水の大量貯留による心圧迫による苦痛に対する例などは,オピオイドの適応とならず,他の治療を考えなければならないのですが,そのようなことを行なわず,フェンタニルを増量しただけでは,症状は緩和できませんので,問題となります。
 このように患者さんの痛みが,がんによるものなのか,他の原因であるのかを確かめることが重要なのです。
 また,フェンタニルパッチは,便秘が比較的少ないと知られているために,便秘対策が行なわれていない例もあるようですが,これでは,患者さんの苦悩は軽減しません。オピオイドを投与する場合には,消化管の状態を確かめ,便秘がないか,宿便がないかを確認し,これらの問題を解決することが大切です。

フェンタニルパッチは,優れた鎮痛薬で,がんの痛み治療に必要な鎮痛薬ですが,患者さんの痛みの状況をアセスメントしないで,がんの痛みに初めから使用する鎮痛剤ではないことを知っていただければ幸いです。

WHOでは下記のような鎮痛薬の基本原則を示しています。
・経口的に
 現在では,経口的に服用することにより,生活のリズムに影響することなく投与を継続できることが知られ,経口投与を優先することが進められています。
・時刻を決めて規則通りに
 オピオイドは,4時間ごと,12時間ごと,24時間ごとに服用する製剤があります。服用する時刻を決めて,規則通りに服用することが勧められています。
・がん疼痛治療法に従って効力順に
 がんの痛み治療は,WHO方式がん疼痛治療法に従って効力順に服用することが基本で,この治療法に従うと問題となる副作用は少ないと知られています。
・患者ごとに適切な投与量で
 患者さんに適切な投与量を決めるために,オピオイドは少量から始め,痛みを改善するのに適切な投与量を定めることが勧められています。
・その上で細かい配慮で
 がんの痛みは,強さも性質も変化する可能性もありますので,オピオイドの効果を確かめながら,反応性の変化に対応していくことが重要になります。

がんの痛みの多くはとることができますが,それには基本を守ることが重要です。