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コーヒーの飲み過ぎは乳がんを増殖する可能性があるかもしれません

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がんの療養生活
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 コーヒーを飲むと肝細胞がんのリスクが減少するという報告や胃がんのリスクを増加するなどの研究報告がありますが,米国の内科専門誌にコーヒーの摂取量と乳がんのリスクの関連性を調べた研究結果が報告されています。


Ishitani K et al. Arch Intern Med. 2008;168(18):2022-2031

 この研究は,38432名の45歳以上の女性から,1992年から1995年に食事内容に関する詳細な質問を行い,コーヒー(及びカフェイン)の消費量と乳がんのリスクの関連性を調べた研究です。
 コーヒーの摂取量は,殆ど飲まない(9362名),1日1杯未満(4996名),1日1杯(5446名),1日2-3杯(12623名),1日4杯以上(5900名)と分類し,乳がんのリスクを検討し,あわせてコーヒー1杯にカフェインが137mg含まれていると仮定して,他のカフェインが含まれる飲み物と合わせてカフェインの摂取量を1日68mg以下,68-181mg,181-352.2mg,352.2-286.3mg,486.3mgと分類して検討しています。
 食事内容の調査からの追跡期間中央値10年間に1188名の浸潤性乳がんが見つかっています。

 カフェインの摂取量が一番多い女性と最も少ない女性と比較しますと,乳がん発生の相対リスクは1.02(95%信頼区間0.84-1.22)となり,カフェイン摂取量と乳がん発生リスクには,関連性が認められていません。
 また,コーヒーを1日4杯以上飲む方と殆ど飲まない方を比較しても,乳がん発生の相対リスクは1.08(95%信頼区間0.89-1.30)と,コーヒー摂取量についても関連性が認められていません。
 紅茶に関しても検討していますが,紅茶を2杯以上飲む方と殆ど飲まない方と比較しても,乳がん発生には差がなく,関連性が認められていません(相対リスク1.03,95%信頼区間0.85-0.25)。

 しかし,良性の乳房疾患のある女性では,カフェイン摂取量が最も多い方やコーヒーを1日4杯以上飲む方では,殆ど飲まない方に比較して,乳がんの発生に僅かですが差が認められています(カフェイン摂取量に関しては,相対リスク1.32,95%信頼区間1.76,コーヒーに関しては,相対リスク1.35,95%信頼区間1.01-1.08)。
 さらに,エストロゲン受容体やプロゲステロン受容体が陰性である乳がんや2cmより大きい乳がんを有する方でみますと,カフェインの消費量が最も多い方は殆ど摂取しない方に比較して,乳がん発生リスクが高いことが認められました(ホルモン受容体陰性の乳がんを有する方では,相対リスク1.68,95%1.01-2.81,2cm以上の乳がんを有する方では,相対リスク1.79,95%信頼区間1.79-2.72)。

 これらの結果から,全体的には,コーヒーやカフェインの摂取量は,乳がんリスクを増加するとは言えませんが,良性の乳房疾患がある方や,ホルモン受容体陰性の乳がんや2cm以上の乳がんはコーヒーやカフェインで増殖する可能性があると考えられます。
 これらに関しては,更なる研究で確認する必要がありそうですが,乳がん治療を受けている方は,コーヒーやカフェインを含む飲み物は控えめにしたほうが無難かも知れません。

 コーヒーに関しても幾つかの研究成績があります。コーヒーの摂取量と肝細胞がんのリスクを調べた日本の研究を含む幾つかの研究を統合して評価した研究が報告されました。
 コーヒーを全く飲まない人に比較して,1日3杯以下のコーヒーを飲む人の肝細胞がんの相対リスクは0.70(95%信頼区間0.57-0.85),1日3杯以上飲む人は0.45(95%信頼区間0.38-0.53)で,コーヒー1日1杯で肝細胞がんのリスクは23?25%減少することが明らかになりました。
Bravi F et al. Hepatology. 2007;46:430-5

 この効果は,肝硬変や肝細胞がんの原因ウィルスと知られるC型肝炎陽性やウィルス性肝炎の既往がある方でも認められていますし,他の研究でもコーヒーが他の肝臓疾患や肝硬変のリスクを低下させることが報告されていますので,コーヒーに含まれる成分が肝臓に良い影響を示していると推定されています。
 また,日本の研究で,コーヒーを1日3杯以上飲む婦人は,殆ど飲まない婦人に比較して,結腸がんのリスクが低い(相対リスク0.44,95%信頼区間0.19-1.04,P=0.04)ことが明らかになっています。しかし,直腸がんには影響がなく,男性では,結腸がん,直腸がんとも影響がないことが明らかにされています。
Lee KJ et al Int J Cancer 2007;121:1312-1318

 しかし,コーヒーが胃がんのリスクを増加しているとの成績もあります。コーヒー1日1杯以下を飲む女性と比較して,コーヒー1日2-3杯飲む女性はハザード比1.49(95%信頼区間0.97-2.27),1日4杯以上飲む女性はハザード比1.86 (95%信頼区間1.07-3.25)とコーヒーの摂取量が1日1杯増えると胃がんのリスクが22%増加する傾向が認められています。
Larsson SC et a;.Int J Cancer. 2006;119:2186-2189
 
 これらを考え合わせますと,コーヒーは,肝臓がんや女性の結腸がんのリスクを低下しますが,女性の胃がんのリスクを高める可能性もあり,乳がんも時に悪さをする可能性があると考えられますので,女性では,1日1杯くらいが適切なのかも知れませんね。