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抗がん剤による口内炎の予防と対策

カテゴリ : 
口内炎
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抗がん剤投与を受けた患者さんの約35~40%が口内炎を発症し,大量の抗がん剤や骨髄移植とくに同種骨髄移植を行った患者さんや頭頸部への放射線照射を行った患者さんに頻度が高いと考えられています。抗がん剤による口内炎の予防と対策について紹介します。


 抗がん剤投与や放射線照射による口内炎が発生しますと,口腔内の痛み,赤く腫れる,出血するなどの症状や,口の中が乾燥したり,食事がしにくい,飲み物が飲みにくい,話がしにくいなど患者さんのQOLに影響すると考えられています。

 また,口腔の粘膜は,感染から生体を守る生体防御機構としても重要ですので,抗がん剤により,口腔粘膜が破壊される口内炎は,全身感染をも引き起こすリスクが大きくなり,好中球減少などの骨髄抑制が見られる患者さんでは,真菌,細菌,ウィルス感染など全身感染を引き起こすリスクはさらに大きくなると思われます。
 
 口腔粘膜の上皮細胞の寿命は短く,通常7~14日で再生する増殖性の高い口腔粘膜は抗がん剤や放射線で障害を受けやすく,好中球減少症と時期が一致することが多いと知られています。

 抗がん剤投与や放射線照射により,口腔粘膜にフリーラジカル(活性酸素)という反応性の高い物質が発生します。このフリーラジカルは抗腫瘍効果の発現にも重要なのですが,口腔粘膜を障害するという副作用も発現させると考えられています。
 経過的には,抗がん剤投与3日以内に口腔粘膜の発赤が見られ,投与7日以降,表皮の萎縮などと口腔粘膜や舌に潰瘍形成が見られ,4~7日間持続すると知られています。

 口内炎は,口腔疾患の存在,口腔内衛生状態の不良などが発症のリスク因子になることも知られており,アメリカでは,抗がん剤治療前に虫歯の治療をするなど口腔内の感染の治療や口腔衛生状態を良好にすることで,口内炎などの口腔粘膜炎などが予防されることを示しています。
<アメリカ国立がん研究所PDQの日本語版>
http://cancerinfo.tri-kobe.org/database/pdq/summary/japanese.jsp

 静岡県でも静岡県立静岡がんセンターと静岡県歯科医師会,サンスターが「がん治療による口腔合併症の軽減・予防に関する包括的共同研究契約」を結び,がん患者の口腔ケア対策に乗り出すことが報じられています。
http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/news/0523_1.html

 抗がん剤や放射線療法を受ける予定で,虫歯や歯槽膿漏,歯石などがある場合には,治療前に歯科医で治しておくこと,そして,食後の歯磨き,頻回のうがいすることが重要と思われます。

 抗がん剤による口内炎を予防する方法に口の中に氷変をいれ冷却することで,口腔内の血流を減らし,口腔粘膜に対する抗がん剤の影響を少なくする方法があります。この方法は5-FUの静脈内注射で有効であることが示されていましたが,今年になって大量化学療法を行う際にも氷で口の中を冷やす口腔内冷却が有効であることが報告されています。この方法は5-FU持続点滴投与などには効果は不明ですが,短時間で静脈内投与する場合には有効である可能性があります。

 口内炎が抗がん剤や放射線照射によるフリーラジカル(活性酸素)が引き金になっていることから,フリーラジカルを中和するamifostineが抗がん剤や放射線の効果を減弱することなく口内炎を減少することが証明され米国で承認されていますが,残念ながら日本では使用できません。同じようなフリーラジカルを中和する物質としてビタミンE,グルタチオンがありますが,これらの薬剤の中には抗がん剤や放射線の効果をやや低下させるとの報告もありますので,使用したい場合には,医師や薬剤師に相談することをお勧めします。

 チームオンコロジー.Comの連載コラムでも紹介しましたが,叔母は,悪性リンパ腫と診断され,CHOP療法という強い抗がん剤とリツキシマブ(商品名リツキサン)の併用療法を受けました。その際,激しい口内炎が出現し,担当の看護師の方から,何度もうがい,歯磨きをすることを勧められたそうです。水を含んでも痛いのに,歯磨きなんてとんでもないと思ったそうですが,看護師のすすめに従って,1日5回,歯磨きしたそうです。その叔母は,その後,問題なく,計画された治療を終え,診断されてから10年近くなりますが,再発が認められず元気に過ごしています。

 口内炎は抗がん剤投与や放射線照射によって高い頻度で起こりますが,抗がん剤による,口内炎の対策は,ご自分でも出来ますので,次のことを励行して下さい。
・治療前に歯医者に行って,虫歯の治療,歯垢の除去など口腔内を清潔にすること
・治療(特に短時間の静脈内投与)中は,口の中を氷で10~15分冷やすこと,
・1日に何度もうがい,歯磨きをして,口腔内の清潔を保つこと
・口腔内を乾燥させないように,水分を補給し,唾液が出るように工夫すること(放射線照射による口腔乾燥症にはピロカルピンがあります)

 口腔内の痛みが耐えられない場合や発熱が見られるようになりましたら,鎮痛薬や抗菌剤の投与が必要になる時もありますので,医師や看護師にご連絡することをお勧めします。

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