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福島と京都で講演してきました

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がんの薬物療法
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 先週末,7月26日(土)と7月27日(日)と福島と京都で講演してきました。
 先週末,7月26日(土)と7月27日(日)と福島と京都で講演してきました。

 福島では,福島緩和医療研究会で拠点病院の緩和ケアチームの医師,看護師,薬剤師を対象に,「緩和ケアにおける薬物療法〜Comprehensive Cancer Careを目指して」というタイトルで,単に症状緩和だけでなく,がん薬物療法を含めた患者さんに希望を与えるような質の高い薬物療法の提供について話しました。
 がん対策基本法の施行以来,多くの方々が緩和ケアの分野に入ってきて,がんの早期からの緩和ケアの実現とうたっていますが,そのことを行うには,どのような知識とスキルが必要かを話しました。
 がん疼痛治療に関しても,マニュアル本のみを参考に行っている方が多いと思いましたので,マニュアルに記載されているオピオイドローテションの換算比の問題,腎機能障害時のオピオイドの使い方の問題についても話しました。
 がん疼痛治療は,がん疼痛の性質,強さ,部位などを適切にアセスメントして,便秘,嘔吐などのオピオイドによる副作用対策を行いながら,タイトレーションを行いながら患者にとって適切な投与量を設定することが重要で,他の併用薬剤(特にがん薬物療法や抗うつ薬など)の薬物相互作用を考慮して,オピオイドを選択することが重要であることを強調しました。
 用量調節が難しく,薬物相互作用による致死的な副作用が考えられるフェンタニルパッチは,用量設定が必要な時期には適切ではない可能性もあります。
 FDAの警告も紹介しましたが,多くの方がご存じないようでした。薬物適正使用情報を伝えるのが製薬企業の仕事でもあると思いました。 
 このような話を初めて聞く方も多いようでした。初めは,吃驚したような顔をしながら,熱心に聞いていただきました。

 京都では,「京都がん薬剤業務連携協議会研修会」で薬剤師向けに「がん薬物療法〜化学療法と緩和医療」というタイトルで話しました。
 現在,緩和薬物療法認定薬剤師の制度が始まりそうなのですが,患者さんのことを考えると,薬剤師としては,がん化学療法のことも緩和薬物療法を含めた,一環とした薬物療法の提供が必要と個人的に考えています。
 そういう観点から,㈰がん薬物療法の進歩,㈪分子標的治療薬,抗体医薬などの効果と副作用,㈫緩和化学療法の可能性,㈬がん薬物療法の副作用とがんの進展による症状を鑑別することの必要性,㈭薬物動態と薬力学(PKとPD)を理解することの必要性など,常に薬の科学的な知識をもって薬物療法の提供する必要があることを強調し,優れた薬剤であるエルロチニブ(商品名タルセバ)などの分子標的治療薬などを効果的に使用するためには,薬物動態に影響する因子を考慮することが必要で,薬剤師の関与が必要であることを話しました。
 京都には,製薬企業勤務時代よく訪問した場所ですし,尊敬する薬剤師としての先輩がおられますので,緊張していました。
 暑い京都にもかかわらず約160名の方が参加し,熱心に話を聞いていただきました。
 患者さんに役立つ薬剤師,医師や看護師などの医療専門職に信頼される薬剤師が多くなることを心から祈っています。

 会場では,拙書「患者中心のがん医療ガイド」を販売していたのですが,講演終了後,購入した方々がサインを求めてきて,にわかサイン会になりました。初めての経験でした。
 拙書も読んで頂き,ご意見を頂ければ幸いです。

 7月20日のホスピス・緩和ケア協会「サテライトワークショップ」での講演に引き続き,7日間で3つの講演をしました。 このシリーズの講演を行って改めて,患者さんに役立つ薬剤師,薬学専門職を目指し,これからくるであろう若い薬剤師が早く育っていただく環境を作っていければと思っています。