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学会報告:ビタミンD不足は,治療効果にも影響するかもしれない

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がんの療養生活
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 ビタミンD不足はがんの発生に関与しているだけでなく,前立腺がんではビタミンD製剤を投与することで治療効果がある可能性も指摘されています。ビタミンD不足はがんの発生に関与しているだけでなく,前立腺がんではビタミンD製剤を投与することで治療効果がある可能性も指摘されています。また,ホルモン受容体陽性閉経後乳がん患者にはアロマターゼ阻害薬が投与されることが多くなっていますが,骨量減少の有害反応があり,骨折リスクが高まることから,アロマターゼ阻害薬による骨量減少の予防の重要性が指摘されています。
 来る5月30日から米国シカゴで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)で,乳がん患者の血中ビタミンD濃度と予後との関係を調べた研究成績が発表される予定です。抄録に基づいて,この情報をお伝えします。

 
Goodwin PJ et al. ASCO #511

対象患者:新たに乳がんと診断された連続する乳がん患者512例(おそらく手術可能例)

方法:診断時に食事の内容に関する質問を行い,診断時に得た血液の25-OHビタミンDの濃度を測定し,臨床的背景因子などとの関係や予後との関連を調べています。

結果:
1. 対象患者の内訳
 T1:288例,T2:164例,T3/4:24例,N0:356例,エストロゲン受容体陽性:342例, 核異型度(グレード)1:73例,2:202例,3:173例 術後化学療法実施例:199例,タモキシフェン投与:200例 追跡期間中(中央値11.6年),146例(22.7%)が遠隔再発,106例(20.7%)が死亡 

2. 血中ビタミンD濃度
 全例平均:58.1±23.4 nmol/L
 ビタミンD濃度低下例 (<50 nmol/L) :192例 (37.5%)
 ビタミンD濃度不十分例(50-72 nmol/L):197例 (38.5%)
 ビタミンD濃度正常例 (>72 nmol/L):123例 (24.0%)

3. ビタミンD低濃度との関連
 ビタミンD低濃度との関連が認められたのは,閉経前状況,BMI高値,インスリン高値,高核異型度です(全てP<0.03)。 また,食事との関係では,レチノール,ビタミンE,穀物,アルコールとでも関連性が認められています(全てP<0.02)。

4. 予後との関連
・5年無病生存率
 ビタミンD低下例:69%,ビタミンD正常例:83%,
 ハザード比1.94 95%信頼区間1.16-3.24 p=0.02

 無遠隔再発生存期間とビタミンD濃度の関連性は,年齢,BMI,インスリン,T因子,N因子,エストロゲン受容体,核異型度でも認められたが,エストロゲン受容体や治療には影響を受けないようです。

 ・5年全生存率
 ビタミンD低下例:74%,ビタミンD正常例:85%
 ハザード比1.73 95%信頼区間1.05-2.86 p=0.02  

 ビタミンD濃度と全生存期間は,核異型度やホルモン受容体陰性乳がん患者で関連性が低くなることが認められているようです。

<コメント>
 診断時のビタミンD濃度が乳がん手術後の無病生存期間や生存期間とで関連性を認めた興味ある所見と思います。
 生存期間とビタミンD濃度の関連性は,核異型度やエストロゲン受容体陰性例で低下するようですが,このことは,化学療法の適応の患者では,ビタミンDの生存期間の影響が少ないことを示唆しているのかもしれません。
 また,ビタミンD低濃度とBMI高値,インスリン高値が関連を認めたことは,ビタミンD低濃度の患者では,食事に問題があることを示唆していると思われます。
 この研究では,診断後の食事内容の改善について検討していません。ビタミンDを多く含む食事や魚などカルシウムを多く含む食事にして,日光を良く浴びる生活に改善することで,ビタミンD濃度や予後がどのように変わるのか知りたいところです。 また,ホルモン受容体陽性閉経後乳がん患者に投与されるアロマターゼ阻害薬には骨量減少の有害反応があり,骨折リスクが高まることから,アロマターゼ阻害薬投与時には,ビタミンDやカルシウムの摂取が勧められています。 乳がん患者に限らず,ビタミンDやカルシウムを含む食物を摂取して,日光を浴びながら適切な運動をすることが重要ではないでしょうか。  

<関連情報>
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