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がん治療中,治療後のだるさには運動が効果的!!

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 世界の医療技術を評価するコクラン共同研究がメタ分析という体系的な評価方法を用いて,がん治療中,治療後のだるさ(倦怠感)の対処方法として,運動が改善効果があることを証明しました。
Cramp F et al. Cochrane Database of Systematic Reviews 2008 Issue 2 CD006145

 この体系的評価では,文献検索にて,成人患者でのがん治療中またはがん治療後のだるさ(倦怠感)に対する運動の効果を評価したランダム化比較試験(28試験,2083名参加)を予め定めた基準で選択し,データを統合して効果を確認しています。
だるさ(倦怠感)は,FACT-F質問票などの患者さんのだるさ(倦怠感)を調べる質問票に答えていただき,患者さんの訴えでだるさ(倦怠感)の強さを表しています。試験毎に異なる質問票を使っているため,データを統合する際に,平均の差を標準偏差で割って得られるという標準化平均差(SMD)を求め,effect sizeで評価しています。
 解析可能であった運動を行った群(920名)と運動を行わなかった群(742名)の研究期間終了時の倦怠感を検討した結果,SMD-0.23(95%信頼区間-0.33〜-0.13)となり,運動を行った群では運動を行わなかった群に比較して,だるさ(倦怠感)が有意に少ないことが認められました。
 この効果は,乳がんの患者さんでより顕著であることが示されています(SMD:-0.36 95%信頼区間:-0.49〜-0.23)。
 また,運動を行う群の前後の変化率と運動を行わない群の前後の変化率を比較した結果,運動を行った群では,運動を行わなかった群に比較して,だるさ(倦怠感)の改善効果が有意に優れていることが認められました(SMD:-0.23 95%信頼区間:-0.36〜-0.09)。
 更に,がん治療中でも運動によりだるさ(倦怠感)が改善することもわかりました(SMD:-0.18 95%信頼区間:-0.32〜-0.05)し,がん治療後でもだるさ(倦怠感)は運動で改善することが認められています(SMD:-0.37 95%信頼区間:-0.55〜-0.18)。
この結果から,この研究を報告した著者は,運動はがん治療中及びがん治療後のだるさ(倦怠感)を改善するための対処方法として効果があり,だるさ(倦怠感)の対処方法の一つとして考慮されるべきであると結論しています。
 世界の医療技術を評価することで有名なコクラン共同研究ががん治療中やがん治療後の倦怠感は運動により改善することを証明しました。
 がん治療中の辛いときに,運動をするのはもっと辛くなると思われるかもしれませんが,だるさ(倦怠感)があるときには,軽い運動から始め,定期的に運動することもだるさ(倦怠感)を改善する方法であることを知っていただければ幸いです。
 なお,寝たきりになっている患者さんでも,手足を動かしたり,マッサージをすることでだるさ(倦怠感)が改善することもあります。

<注釈>
 少しわかりにくいデータになっていますが,運動群と運動していない群の効果に差がない場合にはSEMが0(ゼロ)になります。符号が−(マイナス)になっているのは,運動群の改善効果が高いことを示します。また,95%信頼区間の上限(大きい方)が0(ゼロ)を越えていませんので,有意な効果があると考えています。