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抗がん剤投与による手足症候群の予防と対処方法

カテゴリ : 
皮膚障害
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 抗がん剤投与後,多くは数週間以降に(患者さんによっては数日で起こることもあります),手の掌,足の底(足の裏)の皮膚に日焼けのように赤くなる,ヒリヒリ,チクチク感,知覚過敏,ほてり感,腫脹(腫れ上がる)を生じる皮膚異常を認めることがあります。この皮膚異常を手足症候群といいます。


 手足症候群は命に関わる副作用ではありませんが,ひどくなる場合には,赤く腫れあがり,皮膚にひび割れを起こし,痛みを伴うこともあり,水疱やただれるようになることもあり,日常生活に支障を来すことがあります。
 どうしてこのような手足症候群が起きるのかは,まだ正確にはわかっていませんが,手足症候群は,手足の毛細血管から抗がん剤が少量漏れ出した時に血管の周りの組織を損傷するために引き起こされると考えられてもいますし,汗腺からの薬剤の分泌が原因という説もあります。まれに,膝や肘などの部分にもこのような反応が出現することがあります。

 手足症候群の発現が比較的多いと考えられている抗がん剤は,5-FU持続静脈内投与,カペシタビン(商品名ゼローダ),高用量シタラビン(商品名キロサイド),ドセタキセル(商品名タキソテール),リポゾーム化ドキソルビシン(商品名ドキシル),ソラフェニブ(商品名ネクサバール)です。 症状 手足症候群の症状としては,前述したように手の掌,足の底(足の裏)の皮膚に日焼けのように赤くなる,ヒリヒリ,チクチク感,知覚過敏,ほてり感,腫脹(腫れあがる)がありますが,ひどくなりますと,亀裂(皮膚にひび割れを起こす)・剥離(皮膚がはがれる)を起こしたり,水ぶくれ・潰瘍・皮膚ずれを生じ,強い痛みがあり,歩くことや手を使うことが難しくなることがあります。

予防法
 手足症候群は,白血球減少や好中球減少などの骨髄抑制などの副作用と違って,命に関わることはありませんが,快適な療養生活を損ねる副作用ですので,まずは,その抗がん剤が手足症候群の起こる可能性があるかどうかを医師,薬剤師に確認することが重要と思います。 手足症候群の確立した治療法は,まだありませんので,症状が出現しないように予防することが重要と考えられています。
 手足症候群は,重症になりますと回復が遅いので,軽い症状でも出現したら,抗がん剤の量を減らすことが必要になるかも知れませんし,重症になると投与を中止することが必要になると思います。そのため,投与を中止しないよう,予防しながら,症状が軽いうちに対処することが必要になります。 その対処方法には,次のようなものがあります。

①皿洗い,長時間のシャワー,入浴など手足を暖めることは避ける
②冷たいシャワーや水風呂に入る
③サウナに入ることや陽のあたる場所などに長い間,座っていないなど身体を暖めない
④ゴム手袋は手掌に対する熱を保持するので,長時間,着用しない
⑤洗剤のような刺激のある化学物質との接触を避けること
⑥ジョギング,エアロビクス,跳躍,長時間の歩行など足底の圧の負荷になることを避ける
⑦ねじ回し,包丁・ナイフなど手のひらへの過度の圧力および摩擦を避けること。
⑧シャワーを浴びる時には,微温湯で短時間にすること
⑨座ったり,横たわる時に手や足を上げる㉂手洗いや入浴後にタオルを使うときには,強く拭き取るのではなく,軽くたたくように使用して,皮膚を乾燥させる
⑩保湿クリームやステロイド外用剤などを塗る。その場合には,患部をこすらないようにして下さい
⑪ゆったりとして,通気性のある衣服や靴を着用する

治療法
 予防をしても手足症候群が出現することがあります。皮膚に亀裂が生じたり,痛みがあるような手足症候群が出現するときには,投与している抗がん剤の投与量を減らしたり,投与スケジュールを変更することがあり,時には,症状が回復するまで,一時,抗がん剤投与を中止することがあります。
 手足症候群が出現した場合の治療は確立したものはありませんが,次のものが症状を改善すること可能性があることが知られています。

①一カ所,15-20分間冷やし,反応のある部位を交互に冷やす。これにより手足症候群を原因とする疼痛が軽減することがあります。
②炎症を軽くするためにステロイドの内服や軟膏・クリームを使用することがあります。
③ビタミンB6(ピリドキシン)投与により症状が軽減することがあります。
④痛みがある場合にはアセトアミノフェンなどの鎮痛剤が有効かもしれません。

  また,手足症候群が出現しても,それ以上症状が悪化しないように,前述した予防策をおこなうことをお勧めします。 まとめ 抗がん剤による手足症候群は,命にかかわる副作用ではありませんが,日常生活を妨げるものですし,重症となりますと抗がん剤投与を一時中断,また中止することになりますので,手足症候群が出現しないよう,また,それ以上ひどくならないように予防することが重要と思います。 手足症候群が認められたときには,医師,看護師にお伝えいただき,よく相談した上で適切な対応をしていただきたいと思います。
 さらに,脱毛,手足症候群の副作用があるということは,皮膚に抗がん剤やその活性代謝物が分布されていることを意味し,汗にもそれらが含まれる可能性があるということですので,汗がついた下着,寝間着や汗を拭いたタオルやハンカチは,他のものと分けて洗濯をすることをお勧めします。